『罪と罰』を読まない

四人の未読者が試みた前代未聞の愉快な読書会

 副題にもあるように、読書会の記録です。私の読書会に対するイメージは大部分ここからきています。

この本は2015年に初版が出ているので、8年前ぐらいに買って読んでいます。本屋で見つけてタイトルが面白かったので、最初の部分を立ち読みしてみたら冒頭から引き込まれてしまいました。

 みなさんのなかで「罪と罰」を読まれた方はいますか? 私は、この本を買った時点では読んでいませんでした。

 さて、この本はどういうことなのかというと、

 あるとき、三浦しをん、岸本佐知子、吉田浩美、吉田篤弘という4人の作家が宴席で話をした折に、全員ともドストエフスキーの「罪と罰」を読んでいないことが判明した。それでも、世界の名作なので「なんとなくこういう話では?」というあいまいな情報はみんな持ち合わせていた。読んだことのある人に聞いてみたが、同じようにあいまいな情報しか持っていなかった。ということは、「読んだ」と「読んでいない」には大差がないのではないか?

そこで読まずに読書会を開くことにした。(?)読んだことがないというマイナスポイントを「読んだことがない者だけが楽しめる遊び」に転化してしまおうと考えた。

なんだそれ? 職業作家なのに読んでいないのは恥ずかしいと思ったようです。

 読書会の当日に最初のページと最後のページを配布して、どんな物語なのか徹底的に話し合って推理する。作者の意図や登場人物の思いを探り当てる。 というやり方です。

 最初の情報は主人公の名前(ラスコーリニコフ)とサンクトペテルブルグに住んでいること、貧乏でおばあさんを殺すらしいこと、最後のページに「あと7年」と書かれていて、どうやらつかまって服役するらしいこと、ぐらいの情報で、「まったくの勧だけど」と言いながら好き勝手に妄想を膨らませていく。

 あまりにも情報が少ないと話が続かないので、ヒントとして6部構成の各部から適当に3ページ選んで読めるようにするというルールを付加し、煮詰まったらヒントページを読むようにして進めていく。

 4人は作家なので、自分が書く場合にはどこで因業ばばあを殺すか、などと延々と言い合っている。読んでいないので自由に考えられる・・・「なんだか井戸端会議みたいだな。」と思いました。いやいや「妄想会議」か?ドストエフスキーに失礼ではないのか、と心配になるような会話が続いていく。そんなことを290ページも繰り広げて、悪ふざけにもほどがある。でも無茶苦茶面白いです。何度も爆笑しました。特に三浦しをんさんの暴走がひどい。(訂正:発想が豊か)

 「罪と罰」を読んだ人も読んでない人も、この本をぜひ読んでみてください。(あと、笑いたい人も)

 この本を読めば、「罪と罰」は読まなくてもいいのでは?とも思います。いやいや世界の名作に失礼になりますので、そちらも読んでみてください。

 実は私も「罪と罰」を読んでみようと思って、新調文庫版(上巻)を買いました。しかし、非常に読みにくい文章なので、35ページで挫折してしまいました。