デフ・ヴォイス 7月龍の耳を君に 慟哭は聴こえない

龍の耳を君に 丸山 正樹 創元推理文庫/2018年 慟哭は聴こえない 丸山 正

 聴覚障害者についての話の3部作です。「デフ・ヴォイス」は2023年12月に草彅剛主演でNHKでドラマ化されているので、見られた方もいるのではないでしょうか?残念ながら私は見ていません。現在はU-NEXTで見られるようです。

 私も知らなかったのですが、聴覚障碍者の使う手話には2種類あるそうです。

  • 日本手話  日本語の文法とはリンクしていない独自の言語。生まれつき聞こえない人が幼少時に最初に覚える(教えられる)言語としての手話。顔の表情や口の形なども使う。
  • 日本語対応手話 日本語の単語を手話に置き換えたもの。難聴者や中途失聴者が使用。

 こんなことがさらっと書いてあります。そういえば、TVでも口を動かしているものと手だけのものの2種類を見たことがあるような気がします。うろ覚えですが。

また、「手話通訳士」という厚生労働省認可の資格があるそうです。

主人公は両親と兄が失聴者(聞こえるのは自分だけ)という家庭に育ち、最初に覚えた言語は日本手話でした。(聞こえない親の家庭の聞こえる子供のことを「コーダ」というそうです。)コーダである主人公は、音声の日本語を覚えて普通の学校に通い就職しますが、失業したため「手話通訳士」の資格を取って手話通訳の仕事を始めます。

手話通訳で裁判所での証言を通訳したり、警察での事情聴取の通訳をしたりしながら、困難に直面した聴覚障碍者を主人公が助けていくという話です。

難聴者、失聴者をとりまく環境は厳しく、通学も就職も自由にはなりません。そんな中で事件に巻き込まれたりするとコミュニケーションがうまく取れないために不利益を被ることも多いようです。

聴こえない赤ん坊が言葉を覚えるプロセスも詳細な記述があります。普通の赤ん坊が「あー」とか「うー」とか言い始めるのと同じように、ぎこちない手話を始めるようになっていき、やがて日本手話を覚えていく・・・でも生きていくためには日本語の読み書きを覚える必要があり、外国語のように日本語を覚えることになるようです。

こんな知らない世界があったなんて、衝撃です。一読をおすすめします。

 現在は4作目の単行本も出ているようです。文庫化されたら読んでみようと思います。